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  • アダム+イヴの家 1992


現代社会における新たな人間関係(男と女・家族)に基づく住宅の提案。各々独立した円形住居はリビング・ダイニング・バスルーム・ベッドルームといった用途が円周上のスペースに割り当てられている。動線を単純化すると1日でレール上を1往復別々に転がる。二人の時間的・心的タイミングが合えば、側面に幾つか開けられた窓で二つの住居は繋がり、二人は出会う。その時、それぞれに取り付けられた梯子の片割れは完全な形となり、上部にある眺めの良い愛のスペースへと辿り着くことが可能になる。二つの円形住居の重なり具合はロマンチックな月の満ち欠けをイメージさせる。「月の明かりがイヴの顔を照らす。笑い声が聞こえる。月の声に耳を澄ませば・・・。」

  • KANDINSKYの家 1995


カンディンスキーは色と音が密接に結びついていた。そこで、大地からの音に関する情報を受け取り、ある操作をすることにより第二の地表とも言える面をつくり出す。それは、現実の場とは間接的な関係をもちながらも、束縛されない場であり、自由で即興的な建築を許容する。内的必然性による第二の場の出現、そして、第二の場での建築行為によって具象から抽象への過渡期のカンディンスキーを表現した。

  • ガラスの茶室 1994


茶室=迷宮。茶室は囲われていることにより精神を集中させるが、同時に、心は自然へ宇宙へと開かれている。また、露地は「日常空間=俗」から「茶事空間=聖」への精神的変身の空間であり、俗から聖への道程である。露地と茶室は一体となり、ひとつのガラスの迷宮となる。水の上に浮かんだ屋根からは無数の吊り材によって床が吊られる。屋根は風によって緩やかに動き、御簾のような吊り材もそれに伴って優しく揺れる。そこから漏れる光や風は微妙に変化し、閉じていながら開かれた、自然と一体となった空間を実現する。